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在外公館派遣員

今回は在外公館派遣員制度について書きます。在外公館派遣員制度のことをよく知らない方は、オフィシャルホームページもありますので、「在外公館派遣員制度」または「国際交流サービス協会」で検索してみてください。先方へのリンクは現在申請中です(^_^;)

私が在外公館派遣員になったきっかけ

実は私の初海外勤務は、今のIT系の(2012年10月に帰国後、別の仕事をしています)仕事ではなくて、この在外公館派遣員の仕事でした。昔から「海外で働いてみた~い。」と主張していた私に、大学の部活の後輩が「こんな制度がありますよ。」と教えてくれたのがこれ。まさに人生の転機となったアドバイス! ヘ(゚∀゚*)ノ

あまり世の中に広く知られた制度ではないと思います。募集活動は主に外国語大学で行っているそうなので、そのような大学以外の方は人づてに聞くしかないかもしれません。元派遣員の皆さん、後続の優秀な人材の為に宣伝活動頑張りましょう。

在外公館派遣員の試験

さて、この記事で皆さんが読みたいのは、在外公館派遣員(通称「派遣員」)になるためにはどうすればいいか、ということですよね。まず、前提となる応募条件は在外公館派遣員制度を主催している国際交流サービス協会のサイトで調べてください。条件は毎年変動する可能性がありますので (^_^;)

採用試験は二次試験まであり、一次試験がいわゆる「一般常識」の試験と、応募時に申請した言語の試験(応募時に自分が使える言語と、その言語に合わせて勤務を希望する公館を選びます)、そして日本語による小論文で、二次試験は面接です。面接は英検のような言語の試験と、国際交流サービス協会の関係者の皆さんによる日本語の面接の2つでした。

一般常識問題の難易度は一般的な会社の採用試験と大差ないと思います。右上で紹介している「1問一答」の難易度が丁度同じくらいかな、と思ったのでリンクを張っておきます。問題の難易度はあまり高くありませんが、派遣員の試験は、受験者の大半が外国語大学卒というのが特徴です。しかも外国語大学の中でもトップクラスのT外大とか、O外大とかの出身者がザラです。というわけでライバルは手強いため、相対的に難易度が高くなります。倍率はおよそ10倍くらいとのこと。

在外公館派遣員の試験対策

試験対策ですが、具体的な問題の内容は書けないので、心構えをば。先述の通り、派遣員の試験は難易度があまり高くないので、センター試験レベルの知識を持っていれば難しすぎて解けないということはないと思います。それと、実は言語の試験があまり難しくありません。派遣員を志す方の平均値を考えれば、ほとんど全員満点をとってしまうのではないかというくらいの試験です。したがって、外大生が得意とする言語科目ではそんなに差がつかないのではないかと思います。TOEIC735点だった私が受かったくらいですからw

そこで決め手になるのが数学です。派遣員の試験は問題数が多いため、どんどん解いていかないと(合っているかどうかは別として)全部答えきれません。よって、一問あたりの回答時間が短い人の方が点数を取るチャンスがあると思います。回答に一番時間がかかるのは数学。よって数学が得意な人が有利と思われます。バリバリ練習してください。ちなみに私は理系なので、一般常識問題で出るレベルの数学は問題なく解けます。理系だったことは正直言って有利に働いたと思います。微分積分とか出てきたら確実に落ちたと思いますがw なお私のときの合格者70人のうち、理系はおそらく2人だけでした。そもそも理系の受験者が少ないらしいです。

一般常識問題の歴史分野では、たまに「こんなの常識じゃないでしょ!」と突っ込みたくなる、クイズ番組に出るような問題が出るため、さらっと流すようにしました。知ってるか/知らないかの暗記系の問題は、少しでも悩むようなら印をつけておいて後回しにしましょう。一通り全問回答してから戻ってきて考え直せばいいのです。

そして、一次試験の山場ともいえるのが日本語の小論文です。小論文というより作文というレベルですけども…。日本語の小論文はあらかじめ文章を用意していないといい文章が書けずにタイムアウトしてしまうように思います。私の場合は2回目の受験で合格したのですが、 1回目の受験時はとりあえず書き上げたものの、文章が全然まとまらないままでした。2回目の受験時は、1回目の課題を参考にして、似たような課題が出てもすぐに書けるようにあらかじめ10本くらい作文、記憶してから臨みました。おかげでなんとかクリアーです。

二次試験は練習が難しいと思います。まさに「適正」を問う面接なのではないかと。圧迫面接だったという人が大半ですが、中にはそうでもなかったという人がいます。とりあえず一次試験の小論文の内容をネタにされますとだけ言っておきます。

在外公館派遣員の合格者

受験者および合格者の7割くらいが女性だったのも、外大卒が多い裏づけになると思います。あと、ほとんど全員が1年以上の留学またはバックパッカー暦を持っていました。私みたいに理系で留学・バックパッカー暦なしは他にいなかったと思います。全員に聞いて回ったわけじゃないですが。あと、外国経験のある人が多いので、それぞれかなり個性的です。世間ではちょっと変わってるって言われてるんじゃないでしょうか。ま、私もそのうちの一人なわけですが ヽ(*・ω・)人(・ω・*)ノナカーマ

在外公館派遣員としてアメリカ内の在外公館に派遣が決まるともちろん就労ビザをいただけます。立場的には日本の企業から海外の支社に一時的に派遣されるのと同じなので、社会保険や年金などの支払いは雇用主である国際交流サービス協会が全部やってくれます。この楽チンさと今のギャップがあったので、このサイトを作ろうと思ったんですけどね。 (●´ω`●)ゞ

そのほか、どのような方が合格しているかは大使館で働くための「派遣員」ガイドを読んでみることをお勧めします。私以外の合格者のお話が書いてありますし、仕事の内容や心構え、私のサイトには書いていない赴任から帰国までの流れなども書いてあります。この本の存在を知ったときに本屋で探したのですが、大きな本屋じゃないと置いてないようです。私は見つけ切れませんでしたので、結局Amazonで(^_^;) リンクを張っておきましたので、右上の画像をクリックしてもらえればAmazonの書籍紹介ページにジャンプできます。

在外公館派遣員のお仕事概要

在外公館派遣員制度を一言で説明すると、外交官の人手不足を補うため、世界各地の在外公館で2年間お手伝いする仕事、といったところでしょうか?仕事内容は本物の外交官みたいに対外的な責任を負うものではないけれど、外交官の業務が円滑に回るように周りを固めたり、出張中の政治家や公務員の方の身の回りのお世話をしたりします。このような仕事の事を、業界用語(?)で「便宜供与」と言います。漢字を見れば納得ですが、聞きなれない言葉ですね。ちなみに外交官の方が使う言葉は業界用語、というか硬い日本語が多いです。具体的にどんなお仕事にあたるかはこのページの後半をご参照ください。

実は日本の外交官の人数は世界の先進国と比較するとかなり少ないらしいです。どのくらい少ないか…というのは検索してもなかなか出てきませんでしたので、あまり公言するような情報ではないと判断して割愛します。外交官の人数が少ないのは人口比的に仕方がないという考えもありますが、世界に設置している在外公館の数は他の先進国と同様なので、公館1つあたりの勤務人数が少ないのは間違いないでしょう。また、業務内容を考えるとその人数とのバランスが民間に比べて云々という話は紛糾しそうなので置いておきます(そんなに訪問者いないか…w)。ちなみに私がいたヒューストンの総領事館については、民間並みの稼働率だったと思います。

在外公館派遣員のお仕事(便宜供与)

在外公館で派遣員に最も求められている業務であり、すご~く幅の広い業務が便宜供与です。これは重要だな、と思うのが、政治家や出張者の皆さんが現地の有力者達と会合を行うための会場準備だったり、会場までの案内だったり。ちなみに有力者との事前の折衝や会合の同席は派遣員に求められません。

逆にこれは本当に必要なのか?と思ったのが空港での乗り継ぎ支援。乗り継ぎ時間が少ない、バタバタ乗り継ぎもありますが、基本的には航空会社の職員さん達に任せられます。それなのに顔見せ的な感じで空港に行って、乗り継ぎの間の世話をします。たまに遠隔地に出張してまで支援したり。さぁ~、出張費用はどこから出てるのかな?と考えれば、不要かと。

在外公館派遣員のお仕事(ドライバー管理)

便宜供与の一部として捉える場合もあるようですが、ドライバーと配車の管理もほとんどの在外公館で派遣員に任されます。ヒューストンのようにドライバー3人程度であれば、どうってことないんですが、出張者の往来が激しい大型公館なんかは20数名いたりするそうです。そして絶え間なく空港と大使館や視察会場を行ったり来たりするとか。おそろしや…。

ドライバーは基本的に現地職員で、日本人はめったにいません。ほとんどの派遣員は20代前半の女性で、ドライバーの多くは中年の現地職員。想像に容易いですが、指示に従ってくれない、ドライバー同士の仲が悪いなど、本来の業務と違うところで苦労する人も多いようです。

在外公館派遣員のお仕事(その他)

出張者対応で忙しい公館は上の2つだけで手一杯になるようです。ヒューストンは出張者が少ないものの、人手も少なかったので、私は色々やりました。広報文化やら、新聞の翻訳&報告やら、ホームページの編集やら、現地のJETROの広報誌の編集委員やら。

面接で口を酸っぱくして言われますが、一般的に『外交』と想像されている業務に、派遣員が関わることはまずありません。ちなみに、領事館の業務の大部分は領事部の仕事です。7~8割くらいこの業務ではないでしょうか。在留邦人の支援業務と言えばいいでしょうか。大規模災害時などはこの部署がフル稼働するため、派遣員も補助に入ることがあります。私はハリケーン・カトリーナがニューオリンズを襲ったときに、お手伝いしました。あれは非常に大きな経験になりました。

帰国後は…?

試験対策と共に皆さんの関心事のトップ・ツーに入るのが帰国後の生活です。これはまぁ、色々です。ホントに色々です。

元々休学してきていた人は学校に戻り、元々仕事をしていた人は仕事に戻ります。復職は全体的に少なくて、新しい仕事に就く人が多い印象です。私の同期のうち数人は、ボストンで開かれる就職説明会みたいなのに参加して一流企業に就職しています。私は違うんですがw

あとは外務省の国家3種職員として就職する(本官採用と言います)チャンスもありますし、また派遣員の試験を受けるという人や、草の根交流の職員になる人も数人います。とりあえず、職が無くて困ってますって人はいなかったですね。本人が望んでブラブラしている場合は結構ありますが…w

ちなみに私の同期は70人のうち10人かそれ以上、本官採用になったと聞きました。そのうち何人かの話を聞いたのですが、やはり海外赴任が魅力的だとのこと。確かに希望すればほぼ確実に海外赴任できるようです。ただし、海外勤務できるのは日本で数年勤務した後からですし、一度海外に出ると次に日本勤務になるのは7~8年後になるようです。その間、2~3箇所回ることになりますが、必ずしも専門の言語の土地ではないので、かなり根性のいる勤務になると思います。

在外公館派遣員になる覚悟

最後に注意です!在外公館派遣員制度は海外に遊びに行くための制度ではありません!肉体的にも精神的にも非常に厳しい公館もあります。応募時に勤務を希望する公館名を書く事はできますが、大部分の人が希望した公館に派遣されません。あなたが希望していない公館に行ってもらえないか?と合格通知をもらったとき、即答で「イヤです」なんて言う人には、元派遣員としては受験してもらいたくありません。どのような環境でも将来の自分の糧になると思って受験できる人だけ頑張ってください。

これは余談ですが、大卒でそのまま派遣員になると、後の一般企業への就職に不利になると言う人もいます。理由は公務員の仕事のやり方に慣れてしまうからだとか…。そういう人は在学中か派遣員としての勤務終了後に大学院に行くといいそうです。私はこの意見については全く同意しません。派遣員時代に築いた人とのつながりが、今も生きていますから。